「日本のエンジニアリング文化には、世界が学ぶべき要素がある」——米フィンテック大手Stripeでシニアエンジニアを務める田中誠一氏(仮名)は、こう断言する。
田中氏は日本のメガベンチャーであるメルカリで5年間、決済基盤のバックエンド開発をリードした後、2024年にStripeへリモートベースで入社した。現在は東京に居住しながら、サンフランシスコ本社のチームと協働している。
「日本のエンジニアの強みは、品質へのこだわりと、エッジケースまで考慮する設計思想です。シリコンバレーでは"Move fast and break things"が有名ですが、Stripeのような金融インフラを担う企業では、日本的な慎重さが非常に重宝されます」
入社当初、最も苦労したのは英語でのコミュニケーションだったという。「技術的な議論は問題ないのですが、雑談やユーモアを交えた会話が難しかった。ただ、リモートワークでは文章ベースのコミュニケーションが主体なので、対面よりもハードルが低いと感じました」
田中氏が強調するのは、「完璧な英語力」よりも「技術で語る力」の重要性だ。「GitHubのコミットやPull Requestで自分の実力を示せる環境がリモートワークにはある。流暢な英語よりも、クリーンなコードの方がチームからの信頼を勝ち取れます」
現在の年収は日本円換算で約2,500万円。メルカリ時代の約2.5倍になった。「報酬だけでなく、世界最高峰のエンジニアと日常的に働ける環境そのものが、最大の資産です」
田中氏のようなケースは増加傾向にある。日本の大手テック企業での経験を活かし、米国企業にリモートで参画するエンジニアは、この1年で3倍以上に増えたとされる。
